ウキアシタタズ

頑張れたことを頑張って書きます

深夜2時、夜行バス。

カーテンの隙間から等間隔に光が流れて行く。目を瞑っても開いても、大して変わらない景色の中で、もう眠気がくることはないと何となく予感していた。


姿勢を変えることは許されず、出来ることといえば、こうして考えていることをなぞらえることと、眠気がくることを淡く期待することしかなかった。


何度繰り返したかもう憶えていないが、これからどうするかを考える。

私は今、福井に向かっている途中で、今どこにいるかは分からない。降りなければならないのは敦賀という場所で、そこから始発の電車に乗り小浜駅に行く手筈だ。


目的は、そう…免許を取りにいくんだった。

学生のうちに取ろうと思っていたのが、金銭やら時間を盾にして後回しにしたツケが今回ってきたというわけだ。自分らしいといえば開き直れるが、他人が聞いて印象の良いものでもないことはそれとなく家族の反応を見て分かっていた。


免許合宿というものがどういうものか、十分に理解しているとは言い難いが、その場に行って適応するくらいの度胸というか、肝の座り方が運転にも必要なんだろうと、一人で納得した。


風を切る音と同時に景色がオレンジ一色に変わった。トンネルだろう。鼓膜が締まっていくのを感じながら、次の休憩はいつだろうか、また考える。


休憩所も、目的地も、そして何よりまどろむことが一番遠い、それが夜行バスだと、何度乗っても思い知らされるのであった。

(おわり)