ウキアシタタズ

頑張れたことを頑張って書きます

深夜のコンビニと蛾

人それぞれに好きな景色がある。

空とか、海とか、夕焼けとか、世の中にはそこに在るだけなのに人間の情緒をくすぐるものがあるものだ。

 

私にも好きな景色がある。

深夜のコンビニだ。あの人工的な明かりに安心感を覚えると言えば、変わり者扱いを受けるかもしれない。

 

今では当たり前に深夜に出かけることもあるが、幼い頃にそんな時間に出ることは稀で、

時たま父に連れられて言った深夜のコンビニは、昼には見られない独特の雰囲気があったのを覚えている。そんな経験が今も引きずって、「好きな景色」と言わしめるのかもしれない。


旅をした時もやはり拠り所になったのは、コンビニで、何時間も歩いて暗くなり、宿の目処もついてない。そんな時にアスファルトを照らす24時間営業の灯りを見ると、どうしてか用もなく入ってしまう。


夜の闇と灯りの間に立って、缶ビールを仰ぐ。若干200円、いやそれ以上の幸福がそこには確かに存在するのだ。


…最近、そんな話をした。

 

 


「先輩、蛾みたいっスね!!!!」

 


……そりゃないだろ。

(おわり)